シチュエーションから考える記念グッズ
卒業記念、周年記念、創立記念…「記念」と付くタイミングは個人や組織にとって大切な節目です。
ファンの方々はすでにご存じかと思いますが、
相模鉄道は11月に新7000系の引退にあたり「新7000系引退イベント」を開催することを発表しました。
こちらのイベントに合わせて「引退記念グッズ」も数量限定で販売されることになっています。
「新7000系引退記念グッズ」画像転用元:相模鉄道
◆クリアファイルセット 700円(税込み)※限定1,000セット
◆缶バッジセット 500円(税込み)※限定300セット
◆メタルキーホルダー 700円(税込み)※限定500個
これらの記念グッズは「引退」を記念したもので「引退する側」から「引退を見守る側」に向けてのグッズ展開です。
実用性を兼ね備えつつも、思い出やなくなってしまう存在をグッズで残せるよう、使用せずに飾ったり保存したりするのにもピッタリの記念グッズです。
商品や台紙からもそうした思いの詰まったデザインのこだわりが見えます。
今回はこうした「記念グッズ」に焦点を当てて、グッズ制作における大切な視点についてお話します。
<引退の記念か節目の記念か>
引退記念グッズというと他にも、スポーツ選手の引退記念グッズでユニフォームやフォトフレーム、ぬいぐるみなどを販売しているチームがありますが、
いずれも実用よりも鑑賞の要素を若干強く感じます。
一方で、キャラクターやアイドルグループ、動物園や水族館施設や店舗などの周年記念グッズは
文房具類や食品、パスケース、ライブグッズなど、より実用的な印象を受けます。
一番の理由としては、グッズデザインに用いられる対象(モチーフ)の肖像権が継続するか否かが受け取る側の心理に作用することがあげられます。
引退=今後モチーフとして使用されないことが多いので、できるだけきれいな状態で保管したい。
周年=今後もモチーフとして使用される(更新されていく)ことも期待できるので、今使いたい。
(次の周年記念には新しいグッズもきっと出るので、その時は新しいものを使いたい)
もちろんこれがすべてではないですし、例外はたくさんありますが、こうした販売記念グッズは
消費者心理に沿ったグッズ展開となっていることがみえてきます。
<贈呈品としての記念グッズ>
組織の周年や創立などの記念グッズに関しては、周年や創立を迎えた側(組織)から取引先や組織に属する側に向けての感謝の意を込めた
贈り物としてつくられる場面が多く見られます。
文房具、時計、モバイルバッテリーなど、より実用的な記念グッズの人気が高くなっています。
組織名が入ることを考えると、鑑賞より実用の方がより人の目に触れる機会が多くなり、会社のアピールにもつながります。
受け取った側が「もらって終わり」ではなく「もらってからも使える」、アフターユースを兼ね備えたグッズで特別感を演出することができます。
周年/創立記念グッズは贈呈品であることが多いので、かけられるコストによってラインナップは多少変わってきますが
あくまでも視点は感謝の気持ちとこれからも末永いお付き合いをさせてほしいという気持ちを込めたグッズであることに変わりはないでしょう。
<記念グッズについて考えるときの視点>
これまで様々な記念グッズについてお話してきましたが、
記念グッズを考えるときには、それぞれのシチュエーションにあったグッズ、つまり手に取る人の視点になってみる事が大切です。
まずは記念グッズについて考えるとき、
・販売するかしない(贈呈)か
・モチーフとなる(人)物は今後も継続して(または定期的に更新されて)使用するか、今回で最後なのか
(最後ではないが、現在の状況(タイトル保持やチームの状況)が長く続く保証がないなどの場合もあるので、その際はまた視点を変えてみてください)
この2点から「実用性重視か鑑賞・保存を重視か」の方向性を決める。
(どちらかに絞るというわけではなく、迷った時の指標となる基準です)
この軸が決まったうえで、
・コスト
・ターゲット層
などの条件を考えていくときっと良いアイデアが出てきやすいと思います。
そして常に念頭に置くべき重要なポイントは、「グッズを手にする人がうれしいと感じられるかどうか」という事です。
販売するか、贈り物にするかという視点、コストなどの視点も入ってくるとまたグッズのラインナップは
変わってきますが、まずベースとして「誰から」「誰に」向けた記念グッズを作るのかを念頭にグッズの提案や製作を
進めることの重要性を改めて思い出させて頂いた「相鉄新7000系引退イベント」の記事でした。
また一つ、電車の歴史が動きます。
記事詳細:さらば、新7000系